【拍手お礼 48】


-有意義な休日の過ごし方…?-



風呂上りの一時。
石川は岩瀬に凭れ掛かって寛いでいた。

「悠さん!明日は久々の休日ですね!」
「そうだな…何処か出掛ける…とか?」
「うーん…それもいいですが…」
「いいですが?」
「久しぶりの休みなんで。悠さんにはゆっくりして欲しいです!
 …実は、カナリお疲れでしょう…?」
「え…そんな事は…」
「いいえ!俺の目は誤魔化せませんよ!!」
「いや…誤魔化すとかじゃないけど…」
「だから、明日は何処にも出かけません!!」
「…わかった…」
「ふふふー。」
「…何、笑ってるんだ…?」
「だって。今夜から、悠さんを独り占め出来るかと思うと…vv」
「ばっ…なに言ってるんだ///」
「明日もゆっくりなんで…イッパイ甘えて下さいねvv」
「なっ///…甘えてるのはお前の方だろ…」
「あは。ばれました?」
「解るだろ///」
「だってー。こうして悠さんに触れるのも久しぶりなんですよ?」
「そうだな…」


石川はこの二週間ほどの過密スケジュールを思い出す…


   + + +


本来ならば。
最低でも一週間に一日は休日が在るはず。なのだが…

国会で議会が紛糾し、会期が長引き。
委員会からの無茶な要望にも答え。
未だ止まないテロ騒動に業務が追われ…

この二週間ほど、『甘い一時』などと云う暇もなく。

部屋に帰り、シャワーを浴びて、はい。おやすみなさい。
という日々だった…。

そんな日々を思い出して、石川は小さく笑う。

「悠さん?どうかしましたか?」
「いや…。ホント久々に忙しかったな…と」
「ホントですよ!二週間も!潤いのない生活!!もう我慢の限界なんですけど…」
「おまっ…!潤いって!」
「いえ。悠さんを一日中見ていれるだけでも十分“潤い”なんですが…
 でも、見ているだけ…っていうのはチョット…いえ。かなり辛かったです」
「基寿…」
「ただ。抱きしめ合って、眠るのも好きなんですが…」

そこで、悪戯ッコの様に笑った岩瀬は。
チュッと軽く唇をかすめ…

「もっと深い処で悠さんを感じたい…です」
「…俺も…。もっと基寿を感じたいよ…」


そう言って。重なる影はベットへと深く沈んでいった―


   + + +


「う…ん…」
石川は瞼を射す強い太陽の光で目が覚めた。

「…何時だ…?」
時計を見ると。時計は9時過ぎを指していて…

「…寝すぎだ…」
石川はポツリと呟くと、隣で眠っていたはずの恋人がいないことに気付く。

「基寿…?」
グルリと部屋を見回すが、影も形もなく―
人の気配すらもない。

「…何処に行ったんだ…?」
一人、部屋に残されて悩んでいると、岩瀬が帰ってきた。

「お早う御座います!悠さんvv」
「おはよ…」
「……」
「基寿?」
「…悠さん…誘ってます…?」
「…ほぇ…?」

岩瀬に言われて己の体を見ると―

其処彼処に昨夜の名残が花開いている状態で…
(しかも、何も身につけていない…!!)

「なっ///そんな事ある訳ないだろう!!」

顔を真っ赤にして叫ぶ石川だった…


   + + +


「まったく///お前は!」
プリプリと怒りながら布団に包まった石川はまるで子供のようで―

『ホント可愛いなvv悠さんってば!!』
と、ニコニコしている岩瀬は、布団の上から、やんわりと抱き込み…

「悠さ〜ん!謝りますからコッチ向いて下さいよぅ!!」
「……」
「昨夜は…チョット、ハメを外しすぎました…ゴメンナサイ」
「……」
「…悠さん…?」
「……」

岩瀬は反応のない石川の、布団からチョコット出ている髪の毛を一房救い上げ―

「怒らないで…?悠…」
そっと、甘く囁やき、髪に口付ける。

そこでやっと石川が反応し―

「…怒ってない…恥ずかしいだけだ…」
聞き取れるか聞き取れないぐらいの小さい声で呟いた。
その呟きを聞き取った岩瀬は…

「悠さん…!可愛すぎっっvvv」
と叫び。

ギュ〜〜〜っと抱きしめた。


   + + +


『ホントに何もしないんだな…』
石川は今朝起きてから、自分がとった行動を思い返す―

朝起きて。軽くシャワーを浴び。ブランチを取り。そして今は…
またベットの上でゴロゴロと自分は読書。岩瀬はネットで何かを調べているようだ。

本当に何もしない休日。

久々の休みをこんな風にダラダラと過ごすなんて、以前は『勿体ない』と思っていた。
が。
岩瀬という恋人を持って、自分はこういう風な時間も好きだと気付いた。

『ホント。影響力強すぎだろ…基寿…』

クスリと苦笑して、石川は手元にある本へと意識を戻した。


石川が本に集中していると。調べ物が終わった岩瀬が横に座る。

「…終わったのか?」
「はいvv…悠さんはもう直ぐ読み終わりますか?」
「あぁ…。あと少しだな…」
「では。失礼します」

そう言って岩瀬は石川を抱っこした。

「…基寿///!!」
「もう直ぐでしょ?それまでこのままでvv」
「…いや…読みづらいし…」
「あと少しなんですから!ね?」
「…はぁ…」

石川は一つ溜息をつき。本を閉じる。そして―

「何かあったのか?」
岩瀬の広い胸に凭れ掛かりながら問うてみる。
その問い掛けに岩瀬は苦笑して。

「実はさっき海里からメールが来ていたのですが…」
「海里ちゃんから?」
「はい。で…内容が…」
「アメリカで何かあったのか?」
「いえ!何もないんですが…。ただ…」
「ただ?」
「…メールの内容がタダの惚気!だったんです!!」
「…惚気…?」
「はい!それはもう。読んでいるコッチが恥ずかしくなるぐらいの!」
「……で。“お兄ちゃん”としては“寂しい”と…?」
「うっ…えぇ…まぁ」
「ぶっっくっくっく」
「悠さん?」
「あーっはっはっは…!!」
「そんな可笑しくないですよぅ!!」
「だって…!お前…寂しいからって俺に甘えても…!!」
「悠さん以外の誰に甘えろと!?」
「あはは!それはそうなんだけど…!!」
「悠さ〜〜ん!もう…そんなに笑わないで下さいってば!」
「ゴメンゴメン…でも…」
「でも…?」
「そんな基寿も可愛いぞ?」
「…うっ///」

ニッコリと優しく笑う石川に答えが返せない岩瀬であった―


そして。
その後―今宵も甘く優しい夜を過ごしたことは言うまでもなく。